2019年7月29日月曜日

LEATHERMAN Style PS vs. GERBER DIME TRAVEL


風邪をひきお仕事を病欠のヤギカスです。
暇なのでマルチツールのレビューをしようと思います。
オタクはみんなこういうの好きでしょ?





TSA Compliant(ナイフがついていないので飛行機に手荷物として持ち込める)なキーチェーンサイズのマルチツールの代表としてよく比較される「レザーマン Style PS」と「GERBER DIME TRAVEL」です。

どちらも手のひらサイズで値段も25$(日本だと5000円弱)程度で機能も似ているので、「どちらを買うべきか」と海外フォーラムでも議題に上がりがちです。
日本語で詳しく比較しているサイトは無かったので(多分)ここでやっておこうと思います。

長さは写真の通りStyle PSの方がほんの少し長めです。


厚さはDIME TRAVELの方がツール2枚分ほど厚く、その分重いです。


Style PSはカラビナ兼ボトルオープナーが付いています。



DIME TRAVELはボトルオープナーとランヤードリングが別についています。
ランヤードリングには申し訳程度のリングがついていますが、このリングを使ってどこかにぶら下げるのは心許ない印象です。



Style PSのペンチは先までギザギサしていて先だけが合わさります。



DIME TRAVELの物は先端が平たくなっており、平たい部分が面で合わさります。
何かを平たく潰すのに向いているのはDIME TRAVELの方です。

バネの強さはStyle PSの方が少し硬いです。
DIME TRAVELはバネが弱く「クニャ」っとした質感で、高級感があるのはStyle PSの方です。
また、DIME TRAVELは先端の合わさりがほんのすこーーし左右にズレています。
細かい部分ですが、クオリティというのはそういう細かい事の積み重ね…


根元のワイヤーカッターはタイラップやねじり子を切る程度の仕事なら難なくこなします。
一部海外のレビューではDIME TRAVELの方は切れない、精度が悪いとの事でしたが、自分の個体では特に感じませんでした。
むしろStyle PSの方が少し切りづらかったです。
この辺は個体差あると思うので参考までに。
(レビューの数的にはDIME TRAVELの方が切りにくい個体に当たる可能性が高いと考えていいと思います。)



DIME TRAVELには広めのマイナスドライバーと細いマイナスドライバー(プラスドライバー兼用)がついています。


Style PSは細いマイナスドライバー(プラスドライバー兼用)とヤスリがセットになっています。



DIME TRAVELには独立したヤスリが付いており表裏で目の粗さが異なります。
このへんで厚みの差が生まれているようです。

ドライバーの加工精度はStyle PSの方がいいようです。
これもほんの少しの差ですが、細いドライバーの先がStyle PSの方が平でシャープな加工なのに対し、DIME TRAVELの方は若干の丸みがあります。
ネジのナメやすさに関わってくるところなのでもう少し頑張ってほしかったですね…


両方スプリング式の小さいハサミがついています。
性能は間違いなくStyle PSの方がいいです。
ティッシュを切ってみたところDIME TRAVELは根元の方に切れない箇所がありました。
先の方では問題ないので、糸くずを切ったりすると時は先の方が切れるのだと思います。
(ここも個体差が大きい個所だと思います。)


DIME TRAVELの方は可動域が制限されており、一定角度以上開かないのに対し、Style PSでは完全に開くことができます。
推奨されている使い方ではありませんが、ボックスカッター等としても使えます。
バネはどちらも似たような仕組みの板バネです。




どちらも本体側面に非常に貧弱なピンセットが収納されています。
非常に貧弱です。



これもDIME TRAVELの方には若干のズレがあります。
Style PSの方は完璧です。


DIME TRAVELについているジッパーホックです。ええ、ジッパーホックです。
ジッパーが壊れた時にこれで引っ張るといいよとのことです。
それ必要か?って感じですが、まぁ面白いのでいいでしょう。


以上全ての機能を紹介してみたわけですが、結論としては
だいたいの機能はStyle PSが上です。
スリムさも重さも加工精度もStyle PSが上ですし、塗装もDIME TRAVELの物は弱く、ポケットに入れているだけで剥がれていきます。
似たり寄ったりに見えて、総合的なクオリティが違います。

海外のレビューでもそのような結論になっているようです。

なのでみなさんどちらを買うか迷った時はStyle PSにしましょう。



と、言いたいところですが


ヤギカス的にはDIME TRAVELにも選ぶに値するアドバンテージがあると思っています。
それは、手に持った時のずっしりとした質感、カタマリ感です。



「何を抽象的な事を…」とお思いかもしれませんが、「そもそもキーチェーンサイズのTSA Compliantなマルチツールの存在意義とは?」という事を考えると、手に持った時の感触がいかに大事かがわかると思います。

そもそもの話、飛行機の中でマルチツールが必要な機会など限られているし日常生活でこのサイズのマルチマルチツールを使う機会自体あまりありません。
日頃からツールを必要とする生活を送っている人や、ツールの必要性を強く感じている人はもっと大きくて強力なツールを持っています。そういう人は多少重くてもMP600BLADE LESSや、個別に専用の工具を持ちます。

わざわざ飛行機の中にまでマルチツールを持ち込みたいような人というのは、「ただ工具を肌身離さず持っていたい男の子」なんです。(ヤギカスもその一人です)
そう考えると、フルサイズのマルチツールと比べて、実際のそれぞれの工具の性能よりも男の子アイテムとしての演出が重要視されるジャンルであるといえます。
確かにStyle PSの方がそれぞれの機能についてはほんの少し優秀ですが、DIME TRAVELも一定の仕事をこなせるだけの性能はあります。多くの人にとっては「必要十分」なのです。

その上で、それぞれの細部の演出を見ていくと、Style PSは肉抜きされた薄いステンレスと肉抜きされた樹脂で構成されており、どことなく華奢な印象があります。
対してDIME TRAVELは隙間の少ないボディデザインやゴツいネジ、パネルのモールドのおかげでぎっしりずっしりとした印象があります。
実際の強度、耐久性は別として、DIME TRAVELの方が「強そう」なのです。
塗装強度の問題も、演出のために敢えて弱い塗装を使っているのかなと思っています(勝手に)。
日常生活でこのサイズのマルチツールを取り出して使う機会はそうそうありませんし、パーツ強度の観点からもほとんど使われることなく持ち運び中に小さいパーツが折れてそのまま一生を終える可能性もあります。
その短いライフスパンの中で、「険しい生活を耐え抜いてきた感」を演出するためには弱い塗装の方が都合がいいのです。

以上の事から「あると便利だから持ってんだよ」と言い訳のきく大人の玩具としての価値はDIME TRAVELの方が高いと思います。

ヤギカスは仕事で錠剤を砕いたり硬くなった点滴の接続を外したりと、地味にツールを使う機会があるので、EDCポーチにStyle PSを入れて持ち歩いています。
しかし休日にポケットにポイっと放り込んでおきたいのはDIME TRAVELの方です。
妻に「私もそういうの欲しい!」と言われたので迷わずStyle PSを注文しました。
しかし仮に自分に息子がいたとして、誕生日にプレゼントとしてあげるとしたらDIME TRAVELの方を買うと思います。

以上、選択の参考になればと。

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