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ヴァルハラ ~終末生存~
世の中には2種類の人間しかいない。持つ者と持たざる者だ。先の大戦で家と財産を失って以来、ジャンク品拾いでその日暮らしを続けているこの2人の男はまさに持たざる者の達の筆頭と言えよう。だがそんな暮らしも、今日で終わる。筈だった…
「兄貴~、まだ着かねえのかよぉ。もう腹が減って動けねえよ…」
「この丘の稜線まで登れば、ヴァルハラが見えてくる筈です。もう少しの辛抱ですよ。」
わざとらしく足を引きずって歩くヤギカスを激励しながら、シノブはポンチョのフードを脱いだ。遥か彼方で、人の声とギターの音色が聞こえた。ついに、辿り着いた…!
シノブは「まっでぐれー」と叫ぶヤギカスを置き去りに最後の数十メートルを一息に駆け上がった。丘の頂上から見えたその砦は最後の希望に見えた。
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